- 舌下免疫療法治療について
- アレルギーの免疫療法の現状
- アレルゲン免疫療法とは
- アレルゲン免疫療法
「舌下免疫療法」とは - 舌下免疫療法の
適応(可能)となる方 - 舌下免疫療法治療薬の副作用
- 舌下免疫療法による治療の流れ
- 舌下免疫療法 Q&A
舌下免疫療法治療について
当院では「ダニアレルギーの舌下免疫療法」の臨床試験(治験:2013年)を行いました。
舌下免疫療法の治験経験のある医療機関として、ダニ(ハウスダスト)アレルギー、スギ花粉症治療に取り組んでいます。
スギ花粉症は舌下免疫療法治療薬「標準化スギ花粉エキス」による治療、ダニ(ハウスダスト)アレルギーは「ミティキュア」による治療を承っております。(同時に両方の治療も可能です)
保険適応での治療・薬の処方が可能です。
ご希望の患者さまは、治療適応の診断・検査(血液検査等)が必要ですので、事前にご来院ください。(予約不要)
※ 当院で「ミティキュア」は、開発時より治験で携わっております。
アレルギーの免疫療法の現状
2014年に、日本で初めて保険適応になったスギに対する舌下免疫療法の薬「標準化スギ花粉エキス」の開始に続き、新たに世界中でアレルギーの原因となっている、ハウスダスト・ダニに対する舌下免疫薬(ミティキュア)が2015年12月より発売されました。
これまでの免疫療法は、ダニや花粉症のもとになるエキスを注射することで体を慣らす治療法でした。長期間にわたり、1週間に2度は通院して、注射をしなければならない煩わしさがあり、途中で体調を崩してしまいしばらく治療が出来ない時は、最初からやり直しとなる治療法でした。また、副作用が強く、アナフィラキシーショックを発症する危険もありました。
今回の「舌下免疫療法」は、全てにおいて万能ではありませんが、以前の治療に比べて「副作用が少なく治療作用が高い」ものと言えます。
【舌下免疫療法のよくある Q&A も合わせてご覧ください】
アレルゲン免疫療法とは
アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、からだをアレルゲンに慣らして、アレルギー症状を和らげる方法です。
今回は、アレルゲン免疫療法の1つである「舌下免疫療法」のお薬が発売され、ダニ(ハウスダスト)アレルギー、スギ花粉症の患者さまを対象として、保険適応での治療が行われます。
アレルゲン免疫療法の
特徴
- アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状を抑えられる可能性がある
- アレルゲンを投与することから、まれに重篤な症状が起きることがある
- 治療期間が3~5年くらいかかる
- すべての患者さまに作用が期待出来るわけではない
アレルゲン免疫療法
「舌下免疫療法」とは
スギ花粉症の
舌下免疫療法
検査でスギ花粉症であると診断された患者さまが対象となります。アレルゲンを含む治療薬を舌の上に滴下し、2分間保持することで、アレルギー症状を治療するアレルゲン療法です。その後は飲み込み、5分間はうがい・飲食を控えます。スギ花粉が飛散していない時期も毎日服用します。
ダニ(ハウスダスト)
アレルギーの舌下免疫療法
検査でダニ(ハウスダスト)アレルギーが原因であると診断された患者さまが対象となります。アレルゲンを含む治療薬を舌の上に置き、1分間保持することで、アレルギー症状を治療するアレルゲン療法です。その後は飲み込み、5分間はうがい・飲食を控えます。
従来行われてきた注射で治療する皮下免疫療法とは違うところは、注射をせず、自宅でお薬を服用できる点です。
スギ舌下免疫薬(標準化スギ花粉エキス)と、ダニ(ハウスダスト)舌下免疫薬(ミティキュア)は、同時に治療が可能です。
※ ただし、一日の服薬する時間は分けてください。
舌下免疫療法の
適応(可能)となる方
- 検査でスギ花粉症、または、ダニ(ハウスダスト)アレルギーであると診断された方
- 症状を問わずお薬を毎日服用できる方(スギ花粉が飛散していない時期も毎日服用)
- 定期的な通院が可能な方
舌下免疫療法による治療が受けられない方
- 原因がスギ花粉、ダニ(ハウスダスト)アレルギーではない方
- 重い気管支喘息の方
- 悪性腫瘍(がん)、免疫系の病気のある方
- 過去に「舌下免疫療法」でショックを起こしたことのある方
※ その他の疾患については、医師にご相談ください。
期待できる治療作用
- くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善
- 涙目や目のかゆみの改善
- アレルギー治療薬の服用を減らせる
- 症状改善による生活の質(QOL)の改善
舌下免疫療法治療薬の副作用
アナフィラキシー
ショック
医薬品などに対する急性の過敏反応により、投与後の多くの場合30分以内で、じんましんなどの皮膚症状や、腹痛・嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状(意識の混濁)などがみられること。
口の中の副作用(口内炎、口の中の腫れ、舌の下の腫れ)、喉や耳のかゆみ、頭痛など
舌下免疫療法による
治療の流れ
- スギ花粉症、ダニ(ハウスダスト)アレルギーであるかの検査・診断
- 院内にて初回投与(投与後、30分間観察)
- お薬の増量期間(2週間):自宅にて服用
- 維持期(定期的に受診):自宅にて服用
※ 2~3年くらいの服用が推奨されています。
舌下免疫療法 Q&A
即効性はあるの?
アレルギー薬と違い、即効性のある治療ではなく、長期間(2~3年くらい)の治療期間が必要だと言われています。
アレルギー検査はしないといけないの?
今回の治療は「スギ花粉症 または ダニ(ハウスダスト)アレルギー」の患者さまを対象としており、「スギ花粉症 または ダニ(ハウスダスト)アレルギー」であるかを判定することが必要となります。
治療した人すべてに有効性があるの?
すべての患者さまに有効なわけではありません。一般的に、約10~20%の人には有効性が低いと言われています。
注射より舌下免疫療法の方がいいの?
注射をすることがなく、自宅で服用できることで注目されています。また、皮下注射法より副作用が少ないです。
通院しなくてはいけないの?
経過観察・お薬処方のため、定期的な通院が必要となります。規定により最大で2週間の投薬となりますので、週間毎の通院が必要です。
いつでも開始できるの?
スギ花粉の治療の場合は、スギ花粉が飛んでいない時期に治療を開始します。スギ花粉が1月~4月にかけて飛散することから、2~3ヶ月前に治療開始を希望される場合、前の年の「10月もしくは11月」に治療を開始します。
特にこの治療に向いていない人は?
花粉症の症状のない期間も含めて、長期間(2~3年くらい)の服用が必要ですので、毎日のお薬の服用が難しい方には向いていません。