リンパ節腫脹が
できる場所は?
リンパ節は首から膝まで全身に点在しています。なかでも特に多いのが、首と脇の下、脚の付け根で、これらの位置にあるリンパ節は特に腫れやすく、自覚しやすいという特徴があります。
全身のリンパ節が腫脹している場合は何らかのウイルス性感染や白血病といった病気の疑いがあり、局所的に一部のリンパ節が腫脹している場合は、局所炎症や結核が起きているとか、何らかのがんが転移している可能性が考えられます。
リンパ節腫脹とは
リンパ節とは、体の中にあるリンパ管を繋ぎ合わせる節のことです。総数では全部で600個ほどあり、細菌やウイルスと言った異物への免疫反応や、がん細胞への対応と言ったことまで、体の防衛システムとして非常に重要な働きを持っています。そのリンパ節が腫れる状態を、リンパ節腫脹と言います。
表面に腫脹が出来た場合は手で触り、違和感を覚えることもありますが、内部に起こってしまうと自覚することはできず、CTなどの画像検査によって初めてわかるケースもあります。
原因によって、腫れたリンパ節の様子は異なりますが、基本的には炎症性であればリンパ節は平らでやわらかくなって痛みを感じることが多く、がんの転移が起きている場合は硬くてあまり動かず、痛みがなくしこりのようになっていることが多いです。
リンパ節腫脹の原因
リンパ節腫脹の原因の8割は何らかの感染症や自己免疫疾患によるもので、体の免疫反応によって起こることが大半です。その場合は数日で腫れていき、痛みを伴って起きるという特徴があります。
自己免疫疾患とは、例えば何らかの予防接種の直後に免疫が暴走して、リンパ節が腫脹するのも自己免疫疾患によるリンパ節腫脹となります。
次いで、がんの転移や多発性骨髄腫のような、悪性疾患による腫脹が挙げられます。
感染症による
リンパ節腫脹
感染症によるリンパ節腫脹は、伝染性単核症やサイトメガロウイルス感染症などが代表的で、昔から知られる結核もリンパ節腫脹を起こす感染症の1つになります。
軽いものだと、普通の風邪を引いた後にリンパ節が腫脹することもあり、その場合は自然に治るというケースもあります。
自己免疫疾患による
リンパ節腫脹
自己免疫疾患でのリンパ節腫脹は、壊死性リンパ節炎、全身性エリテマトーデスや成人スティル病で起こることがあります。また、関節リウマチによってリンパ節が腫れるのも、これに該当します。
まれに、自己免疫疾患の治療薬によって起こることもあります。
悪性疾患による
リンパ節腫脹
悪性疾患によるリンパ節腫脹は、がん細胞がリンパ節に転移するとか、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫と言ったものがあります。
いずれも基本的には痛みがないまま、知らず知らずのうちに増えて行くのが特徴で、数週間から数ヵ月ほどのペースで腫脹していく場合は、何らかの悪性疾患の可能性があります。
まれに、急速に腫れて行った場合は痛みが出ることもあります。
リンパ節腫脹の検査・診断
リンパ節腫脹は血液検査と超音波による検査で確認をします。
リンパ腫の疑いがある場合は細胞をとって病理検査にかけ、リンパ節そのものを調べて行きます。
リンパ節腫脹は様々な要因によって起こるため、患者様の他の情報も重要になります。
気づいたきっかけや既往歴はもちろん、例えばアレルギーの有無やペットの飼育歴も含めて調べていきます。
検査の最中で、数字に何らかの異常が見られる場合は、その部分の精密検査も行い、原因を特定していきます。
リンパ節腫脹の治療
腫脹が炎症による場合は、抗生剤や抗炎症剤、ステロイドを使って炎症を引かせていきます。
基本的には1~2週間ほどで改善していくことがほとんどですが、悪性疾患の場合は、抗がん剤などその疾患に合わせた治療を行っていきます。